電波時計+Clock Keeperの時刻精度の測定結果


目次


はじめに

秋月電子通商で販売している「電波時計キット」と Clock Keeperをつかった場合、 どこまで正確に時刻合わせができているを調べてみました。
かならず、この様な結果になるとは限りませんので、参考程度にしてください。

比較にはローカルLAN上にあるNTPサーバを用いました。 このNTPサーバは常時インターネット上のにある5つのNTPサーバを用いて時刻補正を行っています。

使用したNTPクライアントはSatkを使用しました。 本来、SatkはGPSを使ってPCの時刻補正を行うソフトですが、今回はGPSは使わずにNTPクライアントとして動かしました。
GPSと比較する方が良いとは思いますが、電波時計とGPSを同じPCに繋ぐ場合、RS232Cポートが2つ必要になります。 残念ながら手元にRS232Cが2ポート空いているPCがなかったため、NTPサーバを用いました。

使用したPCは次のような仕様です。

測定方法は、10分ごとClock Keeperで時刻補正を行い、30分ごとにSatkで時刻補正を行いました。 各ソフトのログからそれぞれの補正量を取得します。
また、Satkで時刻合わせを行った直後のClock Keeperの補正量には、 Satkが行った補正量も含まれるため、そのデータは使用しないようにしています。

結果1

通常時

電波の受信に問題が無ければ 平均0.121318秒、最大+0.040〜+0.224秒の範囲に収まっています。

通常時

結果2

電波の受信状況が非常に悪い場合

実験開始直前に、電波の受信しやすい場所で校正を行ってから、 受信状況の最も悪い場所へ移動して実験しました。

最悪状態

電波時計のクリスタルの誤差の分だけ徐々にずれています。 緑線の傾きがクリスタルの誤差でしょう。
途中、Clock Keeperが大きく補正しており、それ以降、1秒ずれてしまっています。 これは、電波からタイムコードのデコードはできていないが、 電波の毎秒パルスに同期された時間があったためと考えています。
誤差が0.5秒以上蓄積された後、同期したことにより切り上げられてしまったのでしょう。

なお、このような状況の場所では電波時計の起動時にタイムコードの受信できないので、 実際にこの様な場所で使うことはない(できない)と思います。 もっとも、悪い状況とお考え下さい。

結果3

ノイズによるズレ?
ノイズによるずれ?
1秒ずれて元に戻っています。
ずれた部分のログを見ると、

[03/03/04 14:51:42] [AdjustTime] (-0.04s) adjusted
[03/03/04 15:01:42] [AdjustTime] (0.94s) adjusted ←ここで1秒ずれる
[03/03/04 15:11:42] [AdjustTime] (0.06s) adjusted
[03/03/04 15:21:42] [AdjustTime] (0.88s) adjusted ←NTPの補正が含まれている
[03/03/04 15:31:42] [AdjustTime] (-0.01s) adjusted
[03/03/04 15:41:42] [AdjustTime] (0.1s) adjusted
[03/03/04 15:51:42] [AdjustTime] (0.97s) unadjusted

となっています。 15:51:42 のログが unadjusted になっていることから、 14:41〜51の間に最後の補正が行われていることがわかります。
このことから、14:51〜15:01の間にノイズかなにかの影響で1秒ズレたと考えられます。 このあと、17:31に adjusted になった時に正しい時刻に戻っています。

考察

電波時計の性質上、電波の受信状況ができるだけ良い場所に設置することがよいことが、 実験から確かめられました。
常に adjusted の状態であれば、0.1秒の誤差でPCの時計をあわせることができます。
ログを確認して、できるだけ adjusted となる場所を探してみるのがよいと思われます。

お問い合わせは:山本道成までどうぞ。