観測データ(生データ)のみかた

目次


はじめに(例題)

流星の電波観測には、埼玉県立大宮工業高等学校の大川一彦氏が作成したプログラム HROFFT を用いています。 HROFFT は観測データを画像ファイルにして保存します。
観測データの画像の中には、流星の信号もあれば、飛行機などのノイズ等も混じっています。 その中から、流星だけを見分けてやらなければいけません。
実際に無線機から聞こえる音を聞きながら画像を見ていれば、 どの信号が流星か、または飛行機かはすぐにわかるとおもいます。 もし、無線機をお持ちであれば、周波数を53.749MHzに合わせて実際に聞いてみることをお勧めします。 可能であれば、HROFFTを動かしながら、しばらく、受信機から聞こえる音を聞いてみてください。 流星のエコーが聞こえたときに、どのように記録されるかを見ていれば、 簡単に見分けることができるようになると思います。
しかし、実際に無線機を持っている方は少ないとでしょうから、 これからその見分け方を簡単に解説します。
もし、機会があったら、是非とも実際に流星エコーを聞いてみてください。 まさしく「百見は一聞にしかず」(?)です。

例題
例題
この画像で、どれが流星でしょうか?
最後に答え(?)を出しますので、一度、考えてみてください。

画像の構成

観測データはこのような画像ファイルになっています。
観測データ
画像に書かれているそれぞれの意味は、次のとおりです。
●HROFFT HRO
タイトル
●MI01121250.png
ファイル名
●00.01.12 12:50
開始時刻。この画像の一番左側の時刻。
●metero
流星の数ですが、ノイズ等もカウントしてしまうので、注意してください。
昼間はノイズが多く全くあてにはなりませんが、深夜のノイズが少ない時間帯はほぼ流星数になります。
●画像の横軸
時間
●画像の縦軸
音の周波数
●最下段のグラフ
音量(普段は950〜1100Hzの音量を表示するようにしてあります)

電波を直接受信している

電波を直接受信している
流星観測用の電波を出している福井工業高等専門学校(福井県鯖江市)と、このデータ観測した場所とが 距離的に近いせいか、聞き取れない程度ですが、かすかに直接電波を受信しているようです。 そのため、1kHzの所に横に1本直線が出ます。
しかし本来まっすぐな直線になるはずですが、実際には、周期的に変化しています。 この原因はまだわかっていません。わかりしだい、対処したいと思っています。
また、上下にも横線が出ていますが、これは後で説明します。

流星

流星
矢印をつけたところが流星です。
見分け方として
●下のグラフが急激に立ち上がっている。
流星は一瞬にして大気を電離するので、エコーが聞こえるようになります。 よってこのような形になります。
●周波数が広がっている。
受信される周波数が広がるため、縦に線が出ます。
一番左側の矢印のもののように、エコーが小さな流星もあります。このようなものは、 ノイズと見分けるのが難しいです。
そこで、私は下の音量のグラフで1目盛より小さいものは数えないように決めて数えています。

流星の中には、エコーの継続時間が長いものがあります。 下の画像の様に周波数が広がったまま長時間続きます。(左側のものは1分ほど聞こえています)

ロングエコー

飛行機

飛行機
飛行機の機体で反射された電波が受信されることがよくあります。
飛行機は動いているため、ドップラー効果で周波数が変化します。 そのため、飛行機による反射は斜めの線になり、見分けることができます。 「電波を直接受信している」のところの画像で、直接受信している線の 上下に出ている横線もよく見ると、ゆっくりと右下がりになっているのがわかると思います。 ということで、これも、飛行機ですね。
# 電波観測を始めて飛行機の多さにびっくりしました。

ノイズ

ノイズ
海外の放送や違法電波(?)、受信機周辺の電子機器のノイズなどでこのような画像に なってしまうことがあります。こうなると、流星を見分けることができません。 たまには音の大きい飛行機や流星が見える場合もありますがデータとしては使えないでしょう。
また、ノイズが多いと、CPUの処理能力が追い付かなくなり、データが取れていない所ができます。 右端の時刻を見ると前の画像の一部が見えています。使っているパソコンががらくたの寄せ集めで 作った486マシンなのでしかたありません。

例題の答えあわせ

では、最初の例題の画像を見直して自分で考えてみましょう。 私はこのように数えました。
例題の答えあわせ
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